油圧とは
油圧はパスカルの原理と呼ばれる「密閉された液体の1部に加わった圧力は液体全体に等しく伝わる」という原理を利用して小さい力を大きい力に変換し、工作機械を始めとして多くの機器に使用されています。また流体として油を使用することで沸騰しない、粘性があるため漏れが少ない、潤滑性があるという油の長所を利用しています。
他に
・小型でも大きな力を出せる
・電機等に比べ過負荷を防止する機構が作りやすく、信頼性が高い
・力の調整がしやすい、無段変速が出来る
・遠隔操作が出来る
・配管に手間がかかる、油漏れがある
・引火の危険がある(難燃性の流体を使用することで危険を少なくすることは出来る)
・エネルギーロスがある分電動機容量が大きくなりやすい
・油の温度により粘性(機械の動き)に影響を与えるといった特徴があります。
油圧の要素機器
油圧による制御を行う為には大きく分けて以下のような要素機器があります。
油圧アクチュエータ | 油圧シリンダや油圧モータ等、油が流入すると運動をし、実際に仕事をする機器です。 |
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油圧バルブ | アクチュエータに仕事をさせる際に 送る油の量や圧力、仕事の方向を制御する機器です。 大きく分けて 圧力制御弁、流量制御弁、方向制御弁 の3種類に分類されます。 |
油圧ポンプ | 圧力のかかった油を送り出し、上記のアクチュエータやバルブに油を供給する機器です。 |
油圧タンク | 油をたくわえて置く部分です。発生した熱を放出したり、ごみや不純物を沈殿させる役割もあります。 |
他 油圧アクセサリ | 油を濾過するフィルターや熱を制御するオイルヒーター、クーラー、圧力を計測して指示したり 信号を出したりする圧力計、圧力スイッチ等多数の関連機器があります。 |
主な油圧機器の種類の詳細について今後紹介していく予定です。
油圧ポンプの種類
油圧ポンプには容積ポンプと呼ばれる1回転(往復)ごとに決まった容量を吐出するポンプが使用され、 作動の仕方から回転式、往復式の2種類に分類されます。
また、吐出量を変化させることの出来る可変容量形と変化しない定吐出量形があります。
代表的なポンプの種類と不二越製油圧機器での型式を下記に分類します。
ギア(歯車)ポンプ
歯車が回転することによってケーシングとのすきまが変化し油に圧力をかけて送り出します。
上記の画像のタイプのものを外接形ギアポンプといいます。
内歯車と外歯車を組み合わせた内接形ギアポンプというタイプと2種類あります。構造が単純な為比較的ゴミ等に強く安価です。
両方とも可変容量タイプにするのは難しく定吐出量形が多く製品として出回っています。
不二越製では内接形ギアポンプはIPHというタイプのものがあります。
外接形は現在は生産していませんが取り付け互換のある相当品があります。
ベーンポンプ
円形のケーシング内に羽根(ベーン)を取り付けた回転子が偏心させて取り付けられており回転時にベーンがケーシングに押し付けられて油を閉じ込め偏心によってその容積が変化し圧油を吐出します。 可変容量型、定吐出形共に有ります。
不二越製品では可変容量型ベーンポンプとしてVDS・VDR・VDCがラインアップされています。
定吐出形については現在は生産されていませんが取り付け互換のある相当品があります。
ピストンポンプ
ピストンポンプには大きく分けて アキシアルピストンポンプ ・ ラジアルピストンポンプ ・ レシプロピストンポンプがあり、
不二越製品では斜板式アキシアルピストンポンプがラインアップされています。
シリンダブロックの軸に平行なシリンダボア内にピストンが挿入されており傾斜したプレートの面の上を ピストン端が摺動する事によって往復運動を起こし油を吐出します。
プレートの傾斜角を変化させることで押しのけ容積を増減させる事ができます。
高圧時の漏れが少ない為高圧時によく使用されます。